GIS上で複数のレイヤーを取り扱っていると、レイヤー同士の重なる部分を取り除きたい事象が発生します。ArcGIS Proでは、独自の解析ツール「レイヤーのオーバーレイ」を活用することで複数レイヤーの重なりを除外・抽出を行うことができます。本記事では、国土数値情報データを用いて紹介します。
Before | After
下記画像は、東京駅から半径30km圏内の容積率ポリゴンデータを抽出する前と後の比較画像です。ここでは、30km圏外の容積率ポリゴンと重なるレイヤー(ドーナツ状ポリゴン)を重ねて除外してます。
重なるレイヤーを除外する方法
① データの準備
重なるレイヤーデータを2つ用意します。ここでは2つの円ポリゴンを用いて、真ん中の重なる部分を除外します。下図は、白い円ポリゴンに赤い円ポリゴンを重ねた状態です。
下記サイトにてポリゴンの作成方法をまとめております。
「表示タブ」→「カタログウィンドウ」→「保存するフォルダーで右クリック」→
「新規作成からシェープファイル」→「フィーチャクラスの作成」→「ポリゴンを作成」
② 解析ツール「レイヤーのオーバーレイ」を使用
ポリゴンをマップに反映できたら、解析ツールを用いてポリゴンの重なる部分を除外します。
※また、本ツールで作成したレイヤーは、新規レイヤーとして作成され、元データも残ります!
「解析タブ」→「ジオプロセシング ウィンドウ」→「レイヤーのオーバーレイ」
レイヤーのオーバーレイ ウィンドウが表示されたら、パラメーターを指定していきます。
■入力レイヤー:編集したいレイヤー(ここでは白円ポリゴン○)
■オーバーレイレイヤー:重ねるレイヤー(ここでは赤円ポリゴン●)
■出力フィーチャクラス:レイヤーの保存先を指定(例:入力レイヤー名_Overlaylayers)
■オーバーレイタイプ(参照:Esri社 – オーバーレイ ツールセットの概要):イレースを選択
インターセクト
入力フィーチャの交差部分を求めます。
オーバーレイするフィーチャ部分が出力されます。
イレース ※今回はイレースを選択
入力フィーチャにイレースフィーチャを重ね合わせて、イレースフィーチャ以外の部分だけが出力されます。
ユニオン
入力フィーチャとオーバーレイフィーチャを融合して出力します。すべてのフィーチャとその属性情報が書き込まれます。
アイデンティティ
入力フィーチャとアイデンティティフィーチャの交差部分を求めます。アイデンティティフィーチャと重なり合う入力フィーチャまたは入力フィーチャの部分には、そのアイデンティティ フィーチャの属性が適用されます。
シンメトリカル ディファレンス
入力フィーチャと更新フィーチャの交差部分を求め、重複しない入力フィーチャと更新フィーチャを出力します。 入力フィーチャおよび更新フィーチャ内で重なり合わないフィーチャまたはフィーチャ部分が出力フィーチャクラスに書き出されます。
全てのパラメーターを指定したら、最後に実行を押します!
完了通知が表示されたら、コンテンツウィンドウに出力レイヤーが入っているはずです。入力レイヤーとオーバーレイレイヤーを非表示にすると、出力レイヤーであるドーナツ状ポリゴンが表示されたら成功です!!
このドーナツ状のポリゴンを容積率データに重ね合わせ、東京駅から半径30km圏のみのポリゴンを抽出してみます。
さきほどと同様に、パラメーターを指定して実行を押すと、、、、、
数分後、無事に完了通知が出ました!!
完成図